Who Built The Moon? / Noel Gallagher's High Flying Birds
こんにちは。今回はつい最近出たばかりの、我らが兄貴ノエル・ギャラガーによるソロ新作 "Who Built The Moon?" のレビューをしていきたいと思います。
[アルバムレビュー]
1. Fort Knox
いきなりオープニングから前作前々作とは違った雰囲気を醸し出しています。ちょっとイントロが007っぽいと思ったのは自分だけ?
Fuckin' In The Bushesみたいですごくかっこいいですね、これからソロライブのオープニングSEとしても使えそうな感じ。
ノエル曰く「カニエ・ウェストの"Power"を意識した」とのことですがどうなんでしょうか。
うん、確かに女声コーラス部分は似てるかも。
2. Holy Mountain
笛ガール。(ライブ映像ではなんかハサミを一生懸命演奏してるんですけど… 何してんだろアレ)
この曲、巷ではベルギー人ミュージシャンのPlastic Bertlandが1978年に放った大ヒットシングル "Ca plane pour moi" に似ていると指摘されています。ちょっと聴いてみましょう。
個人的には部分部分だけでそこまで似てるかなあとは思いますが、
この曲のサビを加えたらいい感じにHoly Mountain感が出ていいんじゃないでしょうか。
サビのコーラスはビーチボーイズだしサックスもボウイっぽい気がしますが、例えツギハギだとしてもこうやって高い完成度でまとめてくるノエルの作曲能力には素直に脱帽です。好きな曲。
3. Keep On Reaching
黒い!
黒人音楽のグルーブをすごい感じます。リズムとかホーンセクション聴くとなんだかSly & The Family Stoneがやりそうな曲だなと思ってしまう。この後の流れが素晴らしいのでもしかしたらこの曲は箸休め的な位置付けなのかもしれないけど、もしそうならすごいレベルの高い箸休めですね。笑
4. It's A Beautiful World
うん、新たな名曲の誕生ですね。僕こういうシンプルな美メロ+アグレッシブなリズムトラック+キラキラシンセみたいな曲に弱いんですけど、まさか兄貴がそのパターンで来るとは…。いつものような圧倒的な良メロ系の名曲じゃなくて雰囲気系の名曲だと思います。
フランス語のセリフが入った後3:50〜あたりから飛び出して来る展開でいっつも感動してしまいますねぇ…。
5. She Taught Me How To Fly
(この曲に関しては絶対ハサミいらねえだろ)
ベースラインとリズムがニューオーダーっぽいな。シンプルなメロディーの繰り返しが高揚感を生む曲ですね、ライブで演奏されたら凄い盛り上がりそう。こういう曲聴くと、兄貴は今回の作品で殻を破って新境地に到達したんだなと実感しますね…。
. Be Careful What You Wish For
土着的なリズムや印象的な女声コーラスから、Led Zepperinのアコースティック曲を連想させるような曲。
今作の曲は兄貴の作品にしては結構メロディーが弱いというか、以前のようないわゆる"ノエル節"を持つ曲があまり見当たらないんですね。で、この曲なんか特にそういう類の曲でしかもそれが6分近く続くので、従来のファンの間でかなり賛否が分かれそうですね。僕は結構好きなんだけどな…。
7. Black & White Sunshine
前曲とは打って変わってこれまでの兄貴のようなメロディーセンスが遺憾なく発揮されています。一方歌のバックでは今作の曲たちに共通しているサイケデリックな音が流れていて、これまでの作風と今の作風が融合したような曲。実際ファンの間の人気も高いですね。この辺り曲順がよく考えられているなあ。
9. If Love Is The Law
インタールードを挟んだ曲。全体的にローゼズを感じさせるサイケでポップな可愛い曲!こんな明るい曲調なのに歌詞の内容は結構悲しいです。
The Smithsのジョニー・マーがギターとハーモニカで参加していますが、ギタリストのくせしてハーモニカソロの方がいいですね。笑
10. The Man Who Built The Moon
重厚で壮大なスケール感を持つ今作の実質的な最終曲。完成度が恐ろしく高い。
映画のクライマックスで流れそうな雰囲気だなあと思っていたら、DVDで本人もそう語っていました。サビは7回書き直した末にOKをもらったらしいんですけど、確かに変に盛り上げるよりもこの方が曲全体が引き締まる感じでいいですね。
この後に映画のエンドロールのようなインストが流れて本編は終了なんですけど、その後に追加された世界共通ボーナストラックが最高すぎる曲なので紹介しておきます。
12. Dead In The Water (Bonus Track)
いやあ…これは感涙必至でしょ…。あんたはどんだけいい曲を書けば気が済むんだよ…。
おそらく本編の流れにそぐわないけどボツにするには惜しかったのかな、こういう扱いになったんでしょう。90年代のOasis最盛期のアウトテイクを思わせる大名曲ですね。
今作で寄せられるであろう「メロディーが以前に比べて弱い、才能が枯れた」といった類の批判はこの曲1つで簡単に吹き飛ばすことができそう。
[総評・まとめ]
なんと兄弟揃って全英1位だったそうです。すげえなこの兄弟は。(てか兄貴よりリアムの方が初週の売り上げが多いのか、色々と感慨深いものがある)
両者とも売り上げだけじゃなくて内容も充実していたように思います。リアムの方はファンから求められていた通りの理想的なロックンロールアルバムを作り、かたや兄貴の方はこれまでの自らの殻を打ち破る、Oasisでは決してできなかったような充実のアルバムを作る。両者のソロ活動それぞれに違った魅力があって、この様子ならしばらくOasisの再結成は必要ないかも、そう思わせられるような気持ちになりましたね。では。
(リアムのソロ作の記事も書いています、良かったら合わせてお読みくださいまし)
green-david0705.hatenablog.com