Pale Wavesは絶対に人気が出る。
突然だが、僕はPale Wavesの大ファンである。
待望のデビュー作「My Mind Makes Noises」のリリースを9/14に控え、なぜかただのいちファンであるはずの僕まで緊張している。
正直自分でも意味が分からないが、良い言い方をすれば彼らへの強い愛こそがなせる業とも言える。
とにかく伝えたいのはそれだけ彼らのことが好きだということ。
イギリスでは、毎年お決まりのように「注目の新人バンド」が何組かデビューする。デビューしたてなのでピチピチ、活きのいいバンドばかりである。
彼らはいい曲も書けるので、NMEなどのメディアにこぞってピックアップされる。
勢いそのままにファーストアルバムをリリース、ワールドツアーも盛況で、「きっとこのバンドは将来のスター間違いなしだろう」と誰もが思う。この時点までは。
問題なのは、こういったイギリスの新人バンドにはセカンドアルバムで失速するパターンがあまりにも多すぎる、ということなのである。プロ野球に「2年目のジンクス」という言葉があるが、ここでは「2枚目のジンクス」とでも言えるだろうか。
単純に曲のクオリティが低下してしまうことや、デビュー時には持ち上げといてそこからボロッカスに叩いて貶めるイギリスの音楽メディアが原因として考えられる。
(逆に言えば、ここを乗り越えたバンドは将来大物になる可能性がかなり高いとも言える)
僕が今まで気に入ったイギリスの新人バンドも大体失速気味な人たちが多い。
だって皆さん、Darliaとか覚えてますか…?彼らの失速がホンマに悲しすぎて、今でもたまに思い出しては枕を濡らしております。悲しすぎるので曲貼っとくな…
あとSundara Karmaは消えたらマジで困る。
ライブド下手だったけど、ルックスも曲もいいし期待してるから頑張ってほしい。
なんだか「個人的に消えて欲しくないイギリスのクソエモ新人バンド特集」みたいになってきたけど、趣旨はそこじゃない。今日のネタはPale Wavesである。
僕は、Pale Wavesだけはこの例に当てはまらない、絶対に将来大物になれるバンドだろうという強い確信を持っているのである。
別に主観だけで主張しているわけではなく、そこにはちゃんとした理由がある。追って説明していこうと思う。
①ソングライティングが際立って良い
まずはこれ。
曲がよく書けている新人バンドなんて他にいくらでもいるが、彼らのソングライティングはその中にあっても頭一つ抜けている気がする。
彼らが得意とするのは「The Tide」のような爽やか系ギターポップである。この曲はボーカルのヘザーとドラムスのキアラが初めて一緒に書いた曲なんだが、えっ初めてでこのクオリティ、お前らは現代のレノン・マッカートニーか? 好き。
「Heavenly」も同タイプの曲。
彼らの曲を初めて聴く人はこういう系統の曲から聴いてみるといいと思う。めちゃくちゃ良メロでラジオ・フレンドリー。受けが良さそう。
だが、彼らが書くのはそんな爽やかなポップスだけではない。
「My Obsession」、「New Year's Eve」はいかにもUK風味の少し悲しげな雰囲気の曲。
この2曲は特に歌詞が本当に心に刺さる。人間の複雑な感情の動きを見事に表現した歌詞で、読むたびにエモくなってしまう。曲や詩に作者の魂がこもっているからこそ成せる業であるのだと思う。
(上で紹介した4曲はALL THE THINGS I NEVER SAIDというEPに収録されているのでぜひ)
②新人のくせにライブがいい
ふたつ目はこれ。
8月のサマソニで僕は実際に彼らのステージを観てきたんだけれども、思いの外ライブのクオリティが高いことにめっちゃ驚いてしまった。
新人バンドでライブパフォーマンスが課題っていうバンド、意外に多いんだよな…。それだけに嬉しいサプライズだった。
これは後で説明する内容に繋がってくる点でもあるのだけど、ゴスメイクのかっこいい女の人2人をクローンみたいな風貌の男の子2人が挟んで両脇に並ぶという出で立ち、これは実際に生で観てみるととてもステージ映えするものだった。演奏も十分聴けるものだったが、それ以上にステージ上での見せ方が上手いなと思った。
③唯一無二のヴィジュアル
これが1番大きな理由である。
今一度、彼らの写真を見てほしい。
強い。
新人バンドのくせになんなんだこの漂うカリスマ的なオーラは。
サマソニの観客の中にもすでにゴスメイクをしてなりきっている人もいたが、こういう熱狂的なファンを持つことができる新人バンドはなかなかいない。このように、もうすでに唯一無二の存在感を放っているのは本当に驚異的だと思う。
また、専属フォトグラファーであるNiall Leaの撮る写真もこの彼らの神秘的なイメージに一役買っているのだと思う。
特に存在感が強いのはやはりフロントマンのヘザー・バロン・グレイシー。
彼女の特徴的なゴスメイクは恐らくThe Cureのロバート・スミスや、マイケミを始めとする2000年代のエモ・ロックのミュージシャンを参考にしたものだと思う。
こういうメイクは基本的に、集団の中でもあまり目立たなかったり、日陰にいがちな、まあ乱暴な言い方になってしまうかもしれないが陰キャラがやる傾向にある行為である。
The Cureやマイケミのようなバンドはそういった類の人々の精神的支柱となることで分厚い確固としたファンベースを築き上げた。
と同時に、ラジオ・フレンドリーなポップソングを数多く発表したことで大衆的な人気も獲得することができた。
これはPale Wavesにもそのまま適用できる要素であると思うし、だからこそ僕は彼らがイギリスに久しぶりに現れた、将来絶対に大物になれるであろうバンドだと考えるのである。
というわけで、繰り返しになるが彼らのデビュー作「My Mind Makes Noises」はもうリリース間近である。これのレビュー記事も順次書いていきたいと思っているので、その時はぜひお読みくださいませ。それでは。