SMALL TALK

small talk : 世間話、雑談

サマソニ2018所感

8/18,19の2日間、サマソニ東京に行ってきました。

前から観たかったミュージシャンのみならず、現地で初めて聴いて魅力を発見したミュージシャンも観ることができて本当に楽しい2日間でした。

と同時に、個人的に色々と感じたこともあったのでこの場に書き記しておきたいと思います。

 

自由で寛容なポップスの隆盛と90年代ロックの衰退

 まずひとつ目に感じたことは、ポップスの自由さ・寛容さ

ここでのポップスってのは、ヒットチャートで上位に上がってくるようないわゆる「売れ線」のポップスのこと。

1日目、この日1番の目当てのPale WavesとBillie Eilishを観終わり、ソニックステージトリのTame Impalaまで特に観たいミュージシャンもいないという状況に陥った僕は、迷った末にマリンステージにShawn MendesとMarshmelloを観に行くことにした。

そこで観たMarshmelloのステージは、Eurythmicsなど年代を横断したポップスや、The Killersボンジョビ、ガンズなどのロックまでをも巻き込んだ幅広い選曲となっていた。客席では小さい子供やノエル待ちと思われるオアシスファンも楽しく踊っている様子が印象的だった。

とにかく、Marshmelloのステージからは最高に自由で寛容な雰囲気が溢れ出ており、これこそがポップスのあるべき姿だなという思いを抱かせた。

一方、今年のヘッドライナーであったNoel Gallagher's High Flying BirdsとBeckのステージでは、自分は実際に現地にいたわけではないので確証は持てないのだが、Twitterでの投稿の数々を見る限りかなり集客が悪かったようである。

実際今年のタイムテーブルは被り方が酷かったので一概に「人気が落ちた」で片付けられる話ではないと思うが、両者ともトリ前のミュージシャンよりも客が少なかったという話もある。

確かにMarshmelloの時はスタンディングエリアの後半まで人は入っていたし、2日目のChance The Rapperが終わった時も入場してくる人より出る人のが多かった覚えがある。まあ、これも一概には言えない話だと思うが。(てか、今年のサマソニは全体的に客が少なかった気がする)

思うに、これは単純にファンの高齢化が原因なんだろう。

考えてみれば、ノエルとベックが人気絶頂だった当時のファンって今はもう皆40代に突入しているわけだ。結婚して家庭を持ったことでなかなかフェスまで足を運ぶ余裕のない人もいれば、音楽への熱が冷めてしまった人もいても全くおかしくない。

加えて、フジでヘッドライナーを飾ったボブ・ディランのような規格外の、一生に一度は観ておくべきレジェンド級のミュージシャンはともかく、若い音楽リスナーにとっては2人のような(言葉は悪いが)中途半端に長いキャリアを持つミュージシャンは聴くべき音源が多すぎて敷居が高く見えてしまうし、かと言って今のうちに見ておくべき!みたいな必然性も持たないためなかなか足を運びづらいのだと思う。簡単にいうと「よく分からない」ということだろう。

そろそろ90年代のミュージシャンがヘッドラインを飾る時代とはお別れなんだ。

これからどんどん彼らも単独公演重視の方向にシフトしていくんだろうな…。悲しいけどこれが現実なんだろう、平成最後の夏らしいですね…。

 

暗い話題だけで終わるのも嫌なので、いくつか明るい話題も。

例えばTame ImpalaやWolf Aliceなど、10年代にデビューしたロックミュージシャンのステージはどれもとても良かった。

Tame Impalaなんかは既に圧倒的ともいうべき独自の世界観を作り上げていて、海外で次期ヘッドライナー候補筆頭として騒がれているのも納得だなと思ったし、Wolf Aliceはオーソドックスながらも完成度のかなり高いステージだった。

今は80年代のようにロックにとってかなり不遇の時代だと思う。でも、あの時代にもThe SmithsThe Cureのように奮闘し、後世に影響を与えるバンドはあったわけで、今はTame ImpalaとWolf Aliceのようなバンドがその役割をきっと担ってくれるだろう。今は頑張って耐える時でしょう。

それと今年はPale WavesやBillie Eilishといった新人ミュージシャンのステージがベストアクト級に良かった。集客云々に関わらず、今年蒔かれた彼らのような種は必ず将来大きな花を咲かせることだろうと思う。

 

 

 

大合唱って本当に必要なの?

1日目が終わり、ホテルに戻って休みながらTwitterを流し見していたら、「Chance The Rapperの大阪公演が合唱無くお通夜状態だった」という情報を目にした。

それを目にした時はやっぱりかという気持ちが1番最初に来た。何せ僕も1日目に同じような場面にちょくちょく遭遇していたからだ。

Billie Eilishのステージでは、海外では超有名曲でライブで流れると大合唱必死なDrakeの「Hotline Bling」でも客はシーンとしていたし、ビリー本人も少し戸惑っているようだった。これはShawn Mendesのステージでも同じだった。

もし東京でも盛り上がらなかったらどうなるんだろう。チャンスは日本を見限ってしまうかもしれないな… なんてことを思いながら、直前までスマホで歌詞を覚えながら緊張して開演を待っていた。

だが、いざステージが始まってみるとそんな情報嘘なんじゃないの?って疑ってしまいたくなるほどに大盛り上がりだったし、少なくとも僕のいた最前列エリアは皆大合唱だった。(もしかしたら僕のように予習してきた人も多かったのかもしれない) 

あの時あの場にいた人たちは絶対に1人残らず楽しんでいたしハッピーな気持ちだったと思う。僕らの熱意はきっとチャンスにも伝わっているだろう。

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僕たち日本人は英語ネイティブじゃないし、英語教育も未だにペーパーテストでいかに高得点を取るかということに終始していて全く進歩の気配を見せていない。

そんな僕らがネイティブのようにヒップホップの歌詞を完全に合唱して盛り上がるなんて夢のまた夢のような話だが、中にはJames Blakeのように「日本のオーディエンスは静かに曲を聴いてくれるし最高だ」といって涙を流すほど日本流の楽しみ方を気に入ってくれるミュージシャンもいるという事実もある。

もちろん努力する義務はあるし、盛り上がるべきところで盛り上がらないというのは大いに改善の余地があると思うが、海外の楽しみ方がどうこうとか、そこまで気にすることはないんじゃかな〜と思ってしまった次第。だからとりあえず、呼び屋の皆さんはDrakeとかKanyeとかFrank Oceanとか呼んでください…。話はそれからだ。

 

 

[追記]

この度、僕も大好きでよく読ませてもらってるApollo96さんに寄稿させていただきました!

出演アーティストごとの感想はここでは書いていないので、皆さんこちらも是非お読みください(^ ^)

moon-milk-overtrip.hatenablog.com