SMALL TALK

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ポール・マッカートニー 全アルバムレビュー [90年代編]

green-david0705.hatenablog.com

こんにちは。

前の記事から間隔がかなり空き、年も変わって2019年になってしまいました。

来日ツアーも遠い昔の事のように感じますが、ポールのことだし近いうちにまた来てくれそうな予感がします。もしかしたら今年も来るかも、なんて。

というわけで今回は、90年代の作品について少し書いていこうと思います。

 

 

 

 

 

16. Off The Ground (1993)

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前作から4年のブランクを経て発表された作品が、この「Off The Ground 」。

前作発表後に行った久しぶりのワールド・ツアーのバックバンドと共に録音された今作は、オーヴァーダビングを最小限にするなどの工夫を凝らした結果、非常に風通しのいいポップ・ロック作品となっている。

収録曲も安定したクオリティの佳作ばかり。特に「Golden Earth Girl」と「C’Mon People」からはビートルズ風味も感じられ、往年のファンの期待にも応えることが出来るだろう。

(ちなみにシークレット・トラックとして収録されている「Cosmically Conscious」は、1968年のインド滞在時に書かれた曲だそう。短い曲ながらもあの頃のポールの作風を存分に堪能することの出来る良作である)

ポールの長いキャリアの中ではどうしても地味な扱いをされがちな今作だが、初心者にも自信を持って勧めることが出来る作品だと思う。

 

 

17. Flaming Pie (1997)

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この「Flaming Pie」は1997年に発表された作品。ビートルズの25年ぶりの新曲にも参加したジェフ・リンと、名伯楽ジョージ・マーティンが共同プロデューサーとして名を連ねている。

確かに、「Lady Madonna」を彷彿とさせるタイトル曲をはじめとしてビートルズ風味を感じさせる曲はいくつかある。

その中でも特にアコースティック・ギターの響きが印象的な小品「Calico Skies」は個人的にかなり好きな曲だが、そうしたひいき目を抜きにしても超名曲であることは間違いないだろう。もし60〜70年代にこの曲が出ていれば「Blackbird」に並ぶ評価を受けていたことは間違いないとさえ思える。

出来のいいA面に比べて、B面で少しおっさん臭い曲が増えて失速してしまうのが残念な点ではあるが、雰囲気の落ち着いた好作品であることは確かだ。

ちなみに、この作品はリンダの参加した最後の作品でもある。(彼女は98年に乳がんにより死去)  

最初期は賛否両論であったが、徐々にポール作品にとって不可欠なものとなっていった彼女のコーラスが聴けるのもこれで最後かと思うと、ちょっとした寂しさを覚える。

 

 

 

 

というわけで、今回はポールの90年代の作品について書いてみました。

この10年間では80年代の頃から一転、たったの2作品のみの発表と創作ペースは以前よりも落ちてしましました。原因としてはツアー活動を再開したことや、ここでは取り上げませんでしたがクラシックの分野に挑戦し、作品をいくつかリリースしたことがあると思います。

それと忘れてはいけない、ビートルズ・アンソロジープロジェクトもありましたね。色んな事に手を出し始めたのがこの90年代の特徴かもしれません。

だからと言って本業のソロ活動がおろそかになっていたわけでは全然なく、「Off The Ground」と「Flaming Pie」のどちらも一定のクオリティを保った力作であったように思います。風通しもよく、初心者にも安心して勧められる好盤です。

 

さて、次回はこの企画もついに21世紀に突入します。

最愛の妻を亡くし、自らもついに60代にさしかかろうとする時期に、彼はどんな作品を生み出していたのか。色々と考察を巡らせていきたいと思っています。

 

それでは、短いですが今回はこの辺で。