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ポール・マッカートニー 全アルバムレビュー [70年代編・その②]

どうも。

green-david0705.hatenablog.com

前回の続きです。今回は「Red Rose Speedway」〜「Venus And Mars」と、ウイングスがスターダムへのし上がっていく過程に生み出された3作品をレビューしていきます。

 

 [目次]

 

 

4. Red Rose Speedway (1973)

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前作とは対照的に、たっぷり半年間のレコーディング期間を費やして作られたウイングスとしては2枚目のアルバム。

この作品、全米1位を獲得して、評論家からのウケもなかなか良くて隠れた名盤扱いされてるんだが、少なくとも僕の耳にはそこまで良いとは思えなかった…。

確かに全ての曲がある程度の水準以上のクオリティではあると思うし、シングルにもなった「My Love」は良い曲。

でもなんか、全体的に特徴を見つけづらいというか…。アルバムのカラーがなかなか見えてこないのだ。「My Love」も良い曲と言ったって「Maybe I'm Amazed」ほどではない。

最終曲ではアビーロードのB面を彷彿とさせるメドレーにも挑戦しているけど、正直出来はイマイチであまり印象に残らない。

この作品が評価されるんだったら「Wild Life」もちゃんと再評価し直してくれよ!そう声を大にして叫びたいのである。これは僕の勝手な意見だけどね。

まあ人によって好き嫌いは違ってくるからしょうがないですね。僕の意見はとりあえず横に置いといて、一度は聴いておくべきだとは思う。決して駄作ではないです。

 

 

5. Band On The Run (1973)

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「Red Rose Speedway」のリリース後「Live And Let Die」などの傑作シングルを挟んで発表されたのがこの作品。ウイングスのメンバー以外にも数多くの有名人が参加しているアルバムジャケットが印象的。その中の1人にはなんとあのフロイトの孫もいるらしい!

この作品は一応ポールのキャリアを通じての最高傑作と位置付けられることが多いのだが、まさしくその通りだと思う。完璧なアルバムですわコレ。必聴です。

全英・全米チャート共に1位を獲得する大ヒットを記録すると同時に、批評家からもベタ褒めされたこの「Band On The Run」。ビートルズ解散から3年かけてようやく掴んだ成功らしい成功だったんですね。なんだか自分まで感慨深くなってしまう。

冒頭の2曲を始め、収録されている全ての曲がポールらしいキャッチーなメロディーを持っていてかつバラエティーにも富んでおり、一切のスキを感じさせない。

ポールが叩くドラムも曲にうまくマッチしていていとをかし。彼自身がドラムを担当するアルバムはいくつかあるけれど、個人的にはこのアルバムでのプレイがダントツでイイと思う。キース・ムーンが絶賛するだけのことはありますね。

しっかし、アルバム制作に入る直前になってバンドメンバーが脱退したり、レコーディング先のナイジェリアでデモテープの盗難にあったりと災難続きの状況からこんな傑作を作り上げるなんて…。

もしかしたらポールは苦しい状況に置かれると、より力を発揮するタイプなのかなと思ってしまう。だって、ビートルズ時代だってジョン・レノンという大天才が常に近くにいて2人でしのぎを削っていたわけだし。そういう厳しい環境に置かれていたからこそ、後年に渡って残るような素晴らしい曲を次々と書き上げることができたのではないか。

というわけで、この作品で大成功し一気にスターダムへと駆け上ったウイングス。ここからしばらくの間はこれまでのような苦労の続いた不遇の時代が嘘だったかのような大躍進を見せることとなるのであった…。

 

 

6. Venus And Mars (1975)

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「Band On The Run」の2年後、1975年に発表されたこの作品。

ピンク・フロイドの最高傑作として名高いモンスターアルバム「The Dark Side Of The Moon」に触発されたらしく、宇宙的なアルバムタイトルやシンセサイザーを大々的に取り上げた浮遊感漂うサウンド、曲と曲がシームレスに繋がっていくコンセプトアルバム的な構成とその影響は随所に感じ取ることができる。

アルバム自体の出来も最高!正直傑作とされている前作と並ぶかそれ以上に好きです。ポールをこれから聴いていきたい!って人にもめっちゃオススメ。強力なシングル曲が目白押しでかつ収録曲のバリエーションが幅広いので、聴いてて飽きないんですよね。

例えば「You Gave Me The Answer」なんかはアンソニー・ニューリー風味のボードヴィル調の曲。ジャズ風の演奏に乗せられて、なんだかほっこりするような安心するような…。「When I'm Sixty-Four」とか、こういう力の抜けた曲をたまにやってくれるのが僕がポールのことを好きな理由のひとつでもある。笑

今作からはポール以外のメンバーがボーカルをとる曲も収録されている。「Spirits Of Ancient Egypt」は作ったのはポールだがボーカルはデニー・レイン。ソロプロジェクトではなく、あくまで「バンド」であることを示したかったのだろうか?この傾向は次作でさらに加速することとなる…。

 

 

 

今回紹介した3作品はいずれもウイングスの全盛期を飾るアルバムとして位置付けられていて、(個人的な好みを除いて)どの作品を聴いても満足できると思います。特にオススメなのは「Venus And Mars」。この中では1番バラエティに富んだ作風で、ビートルズ風味も多分に感じられるため初心者でも入っていきやすいと思います。もちろん「Band On The Run」もイイよ!

というわけで次回はウイングスの残りの3作について書いていきたいと思います。どんな作品なのか今から楽しみです…!

 

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