SMALL TALK

small talk : 世間話、雑談

高橋由伸のことが大好きだ。

今日は、いつもと毛色の違う話題。

 

 

実は僕は結構熱心な巨人ファンである。応援し始めてかれこれ10年くらいだろうか。(阪神ファンでこのブログを読んでくれている人がもしいたら謝罪します)

巨人の中でも好きな選手はいて、例えば投手で言ったら内海、野手で言ったら小笠原とかね。ラミレスもすごい優しくて好きだったなあ。

でも、その中でも僕が本当に1番好きだった選手は、他でもない高橋由伸だった。

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僕が巨人ファンになって本格的に野球を見始めた頃にはもうすでに全盛期は過ぎていたけれど、その圧倒的な存在感や勝負所で決定打を決める天才的なバッティングセンスは健在だったし、何より「度重なる故障に見舞われた悲劇の天才」というイメージが僕を強く惹きつけたんだろう。

東京ドームで「代打・高橋由伸」のコールがされた時の地鳴りのような歓声、そして体の奥底から鳥肌とともに湧き上がってくるワクワク感を僕は一生忘れないと思う。

 

そんな僕の1番大好きな天才打者・高橋由伸との別れは突然訪れた。2015年のことだった。

 

2015年シーズンの巨人は野球賭博問題で揉めた挙句、セリーグ優勝を久しぶりに逃したとまさに踏んだり蹴ったりで、当時の原監督も退任することとなった。その後任として白羽の矢が立ったのが高橋由伸だった。

もちろん来シーズンも彼は絶対的な代打の切り札として君臨してくれるだろうと思い込んでいた僕にとっては、文字通り寝耳に水の話だった。

連日の報道にも耳を塞ぎ、天に祈り続けた。神様お願いします、来年も由伸の芸術的なバッティングを見せてください、と。

 

神様はいなかった。

 

結局彼は監督に就任、同時に現役引退することとなった。どんな事情があったかはよく分からないし変に首をつっこむのはやめておくけど、野球界の大レジェンドであり彼の恩師でもある長嶋さんにお願いされたら誰だって断れないだろうとは思う。やっぱり高橋由伸は「悲劇の天才」なんだなあ、とも思った。

 

監督就任してからの高橋由伸は、正直言って全然ダメだった。

そりゃ当たり前だ。原政権時代の中心選手たちはもうすでに全盛期の輝きを失い、かつて他に類を見ないほど充実していた選手層はこれでもかってくらい薄くなっていた。和田一浩の髪の毛ほどではないが、福留のそれくらいには薄くなっていた。

そんな選手層でつい最近まで選手だった、コーチといっても兼任コーチの経験しかない新米監督が優勝を目指せっていってもそれは無理な話である。前任の原辰徳が歴史に名を残すレベルの名将だったのもプレッシャーだったろう。

就任2年目には良くなるどころかさらに悪くなった。30億もかけた補強も失敗に終わり、特にFA組は暴行事件を起こした山口俊を始めチンカスばかりだった。

最終的には11年ぶりのBクラス。めちゃくちゃ弱いと思っていた2010年、2011年シーズンを上回る、想像を絶する弱さだった。

巨人を応援するのをやめようかなとも少しだけ思った。けれど、僕には現役時代あれほど好きだった高橋由伸を裏切ることはできなかった。カルマやね。

で、2018年シーズン。若手の躍進もあって、由伸政権になってからは1番楽しいシーズンだった。

でも、やっぱり補強は失敗、若手のチンカスどもの不祥事も相次ぎ、最終的には12年ぶりの負け越しが決定。今はなんとかCS争いができている状況である。(10/4時点でのハナシ)

 

そして今、僕は高橋由伸の監督辞任のニュースを見ている。

正直、最初に聞いた時はすごく悲しかった。半ば強制的みたいな形で監督就任させられ、監督としてはいいところを全く見せられずに成績不振で辞任とは。「悲劇の天才」にしても悲劇が過ぎると思った。

でも、少し落ち着いて考えてみたら、考えが変わってきた。

思えば彼の野球人生は他者によって翻弄されっぱなしだった。野球をやめたくてもやめさせてもらえず、興味のなかった巨人に逆指名で入団させられた。(色々と裏事情があるらしいがここでは深入りはしない。興味のある人は各自で調べてほしい) 監督就任の経緯については前に書いた通りである。

だけど今回の監督辞任に関しては、球団側の慰留も介せず初めて自分の意思を貫き通したのである。ベンチの中でも鉄仮面を被ったかのように無表情でメモを取り続けていた彼の人間的なところを久しぶりに見ることができて、少しホッとした思いが僕の中に生まれてきた。

思えば選手時代の彼のバッティングの、天才的な中にもそこまでたどり着くのに積み上げられた確かな努力のあとが見え隠れする、そんな人間的なところに実は惹かれていたのかもしれないな。

CS、そしてその先の日本シリーズとまだ仕事は残っているけど、それらが終わって無事監督業から離れることができた暁にはゆっくり休んでほしい。この3年間でものすごい疲弊しただろうし。まあ僕が言えることじゃないんだけど。で、気が向いたらまた野球界に戻ってきてほしいな。あ、現役復帰してもいいんだよ??

 

ひとまずお疲れ様でした。大好きです。