SMALL TALK

small talk : 世間話、雑談

漫画雑誌を買うつもりじゃなかった 〜 小沢健二ライブレポその2

(今回の記事は以前書いた小沢健二のライブレポの続編という体で書いてます。よければこっちもお読みくだされ…。)

green-david0705.hatenablog.com

 

ある日何となくTwitterの投稿を見ていたら、漫画雑誌の「スピリッツ」7月23日号の表紙に何と小沢健二が載るという驚くべき情報をキャッチした。しかも、表紙だけじゃなくて特別寄稿もしているとのこと。これを逃す手はないということで、発売日に本屋に買いに向かった。f:id:green-david:20180721172931j:image

 漫画雑誌なんて買うのはいつぶりだろうか…。多分、小学生の頃に買ったコロコロコミックが最後だと思う。今回のスピリッツも小沢が表紙にでもならなきゃ買わなかっただろう。(それにしてもこの場違い感である。表紙デザインがちょっと「ヘッド博士の世界塔」っぽいのが違和感を和らげてはいるけれど。)

ライブの時もステージ脇にカメラマンが控えていたという話を前に聞いていたので、何らかの形で写真が公開されるのかなと思ってはいたが、まさかこういった予想外のフォーマットで発表されるとは。やはり元フリッパーズのメンバーなだけのことはあるパンク精神の持ち主である。

特別寄稿のエッセイの内容は、今号のテーマでもある「音楽フェス」の話も織り交ぜながら、「めんどくささを愛でること」について書いたものとなっていた。

いつもの小沢の文章らしく、現代社会にクエスチョンマークを提示することを忘れていない内容で、僕にとっても考えさせられるものだった。

きっと小沢がここで言っているフェスっていうのは主にフジロックのことだと思うが、フジはフェスの中でも特に「めんどくさい」もののひとつであると思う。会場は都心から遠く離れた新潟の山奥。山奥なのでもちろん天気は変わりやすく、雨が降ると地面は泥だらけになる。来場客は皆、登山でもするのかという風な重装備の格好で来ている。

そんな「めんどくさい」フェスが何故開催から20年経った今でも多くの観客を集めるのか。それは、そのめんどくささも含めて非日常の体験ができるからである、と僕は思う。

もし、フジロックの会場が自宅の隣に移設してきた!なんて事態になったら、きっと多くの人は以前ほどこのフェスを楽しむことはできないだろう。忘れ物のないように入念に持っていく荷物をチェックして、期待に胸膨らまして会場に向かい、途中様々な困難も乗り越えながら目当てのミュージシャンを見にいく。その過程すべてが「フェス」であり、非日常であり、楽しいことなのだから。

思えば今年の小沢のライブもそうだった。

普通のチケット販売で使われる抽選ではなくて、特定の日時に抽選なしで一斉にチケットの販売を開始するという手法。そういっためんどくさい狭き門を抜けた上でのライブ体験は(きっと小沢本人のアーティストパワーに寄るところが大きいと思うが)本当に素晴らしいものであった。

彼がライブの最後に言った「生活に、帰ろう」というフレーズがこの文章を読んだ後ではより一層深みを持って僕に語りかけてくる。ははぁーん、本当はそういう意味だったのね。

これだから小沢は本当に面白い。